目覚めた。

いつもより、やはり機嫌がいい。
いい目覚め。




通学路を歩く。
今日は、加棚は、寝坊。里居は、朝から担任に呼ばれたらしい。どうせ、課題出してないんだろ。

いつもいる二人がいないと、あっと言う間に学校に着いた。

零兎いるかな………
そっと零兎のいる三組を覗いた。

ん??
零兎の席の周りに、三人ぐらい男の生徒が見える。


なんだ。友達いるんじゃないか………………

いや……違う。

よく耳を澄ました。

『おめぇさぁ。気持ち悪いんだって。地味で学校来なくても、誰も困らないんだって。』
『ただでさえ、不登校もどきじゃねぇかよ。来なきゃいいのによっ!』


罵声だ。
零兎は、三人のクラスメイトに言われてるんだ。


そういえば、こないだ女子生徒が言ってたな。
目を付けられてるって………


男子生徒は、ガンッガンッと、机を蹴っている。
零兎は、静かに俯いている。

助けなきゃ。



でも………身体が動かない………
零兎が………レウが………
あんな奴らに、罵声を浴びせられてるのに………


三組のクラスメイトも見ないフリをしている。
関わらないようにしているのだろう。

男子生徒が零兎の髪を掴んだ。


くそ………俺っ!!!
動けよっ!!!!!!





『おいっ!!それくらいにしてやれよ!』


ハッとした。
零兎の髪を掴んでいた男子生徒の手首を掴んでいる男子生徒がいる。

『なんだよ。雛汰かよ。いじってやったんだよ。』と男子生徒は、掴まれていた手を振りほどいた。

『いじる??お前らがやってることは、最悪だっつぅの!カッコ悪いし、ダッセェのは、お前らだって』
雛汰と呼ばれる男子生徒は、言った。

舌打ちをしながら、三人の男子生徒は、廊下へ出て行った。

すると、
『見て見ぬフリしてるお前らも同罪なんだよ!!同じクラスメイトなのに、酷い奴らだわ!』と教室内を見回して言った。

教室内は、沈黙となった。

そして、俺も………


何も出来なかった。
昨日友達になるって言ったばっかなのに。
見て見ぬフリはしてない。
でも、なにも行動出来てない。

ズキンと胸が痛かった。


『ありがとう。雛多君。』
零兎は、ペコリ頭を下げた。

すると、
『気にすんなって!俺らクラスメイトの仲間だろ!』と雛多は、言った。

仲間………
友達より、仲間のが上なのかな。

雛多と呼ばれる男子生徒が、すごく大人びて見えた。
見た目は、真面目ぽくは、見えない。
髪も茶髪だし。制服も着崩している。
でも、零兎を助けることができる。


俺…………だめだ…………

肩を落として、二組の教室に向かった。