『帰りにカラオケ行こうぜ』
里居は、スクールバックを肩にかけ、後ろの席の
男子生徒二人に声をかける。

『おっ!!里居賛成っ!!』
元気に跳ねながら、手を上げる加棚。

『わりぃ…課題提出するの忘れたから、居残りなんだよね……行けたら後で行くわ!』と頭を掻く俺。

『またかよ!(笑)相変わらず、柚季らしいな(笑)』と里居が笑う。

『柚君後で来てよぉ!待ってるからね!』と笑顔に手を振り、加棚が里居と教室を出た。


三人しかいなかった教室は、静かになる。

はぁ………

なんだろぉ。。

俺は、高校二年生の藍塔柚季《アイトウユズキ》。
さっきいたのは同じクラスの友達、里居空弥《サトイクウヤ》と、加棚芽理《カタナメリ》だ。
悪ガキの様な見た目と裏腹に、意外としっかり者の里居。
身長が小さく、可愛いという言葉が似合う加棚。
高校に入ってから連むようになった。


………が、

なにか壁を感じている。
というか、自分が異様に冷めている。


だからといって、里居と加棚が嫌いかというと、そうではない。

昔からなのだ。
二面相というのだろうか。
人と付き合うのが得意ではない。
なのに、実際人の前にいると、そうでもなくなる。
周りは気づかないようだ。

だから余計、重荷になっている。


人と避けるために、頭を回転させるようになった。

まさに………そう………
課題提出を忘れたことは、ない。
なるべく、一緒にいる時間を減らすため。
結局、罪悪感で会いに行くのだけれど。

『なぁんでこんなに冷めてるんだろなぁ~』
椅子に座って、背伸びをした。

さて。
どうやって、時間潰そうか………

いつも机でふて寝するのだが、今日授業中寝てしまったから、眠くない。
校内フラフラしてみるか。

鞄を肩にかけ、教室を出た。