「先に質問したのは我の方だ。答えよ、助けるとは何を如何様にする事かね?」
異様な風貌の男だった。
長身にして痩躯。
銀色の長髪に透き通るような白い肌。
更にそれを上回る純白の豪奢な衣服。
両肩を包む不思議な紋が刻まれたケープと、手の甲が隠れる程に大きな袖口が特徴的。
髪と同じ、銀の瞳。
同性の俺ですら綺麗だと思ってしまう程、人間離れした美しい顔立ち。
そして、それを半分ほど台無しにしている高圧的で上から目線の冷たい眼差し。
しかし何よりも特筆すべきは、背中に頂いた大きな白い翼だろう。
俺の乏しい語彙で彼を一言で言い表すならば、それは天使と定義するのが最も分かり易いだろうか。
「……はは、ついに俺にもお迎えが来たってか? それとも、本当に助けてくれるのか?」
既に感覚が麻痺している俺に、驚くという選択肢は存在しない。
人外の赤い髪に、世界を食らう灰色の穴に、アスファルトを粉砕する白い羽、いちいち驚いていたらきりがない。
……来るところまで来たって感じだ。
しかし、天使か。
異様と言うより異形。
異形?
上等じゃないか。
今更何が出たって構うものか。
この最悪な状況を打破する可能性があるならば、天使どころか悪魔にだって魂を売ってやる、とさえ思えた。
それで助かるなら安いものである。
「…………」
俺の問いに、男は答えない。
そうか、質問してるのはあいつの方だっけ。
「悪い、ちょっと混乱してるみたいだ。言えば良いんだな? ……由加を元に戻して、俺達を安全な所に連れていって欲しい。可能なら、この良く分からない世界も、何とかしてくれるとありがたい」
「後者は不可能だ。ワームは始まってしまえば、決して止める事は出来ぬ。が、前者なら可能である」
駄目で元々のつもりで言ってみたが、白い男は事も無げにそう言い放った。
出来るのか。
彼ならば可能だと言うのか。
由加の蘇生が!
俺達の救助が!!
パニックで今にも止まりそうだった俺の頭が、再び回り始めるのを感じた。
異様な風貌の男だった。
長身にして痩躯。
銀色の長髪に透き通るような白い肌。
更にそれを上回る純白の豪奢な衣服。
両肩を包む不思議な紋が刻まれたケープと、手の甲が隠れる程に大きな袖口が特徴的。
髪と同じ、銀の瞳。
同性の俺ですら綺麗だと思ってしまう程、人間離れした美しい顔立ち。
そして、それを半分ほど台無しにしている高圧的で上から目線の冷たい眼差し。
しかし何よりも特筆すべきは、背中に頂いた大きな白い翼だろう。
俺の乏しい語彙で彼を一言で言い表すならば、それは天使と定義するのが最も分かり易いだろうか。
「……はは、ついに俺にもお迎えが来たってか? それとも、本当に助けてくれるのか?」
既に感覚が麻痺している俺に、驚くという選択肢は存在しない。
人外の赤い髪に、世界を食らう灰色の穴に、アスファルトを粉砕する白い羽、いちいち驚いていたらきりがない。
……来るところまで来たって感じだ。
しかし、天使か。
異様と言うより異形。
異形?
上等じゃないか。
今更何が出たって構うものか。
この最悪な状況を打破する可能性があるならば、天使どころか悪魔にだって魂を売ってやる、とさえ思えた。
それで助かるなら安いものである。
「…………」
俺の問いに、男は答えない。
そうか、質問してるのはあいつの方だっけ。
「悪い、ちょっと混乱してるみたいだ。言えば良いんだな? ……由加を元に戻して、俺達を安全な所に連れていって欲しい。可能なら、この良く分からない世界も、何とかしてくれるとありがたい」
「後者は不可能だ。ワームは始まってしまえば、決して止める事は出来ぬ。が、前者なら可能である」
駄目で元々のつもりで言ってみたが、白い男は事も無げにそう言い放った。
出来るのか。
彼ならば可能だと言うのか。
由加の蘇生が!
俺達の救助が!!
パニックで今にも止まりそうだった俺の頭が、再び回り始めるのを感じた。