振り向くと教室のドアに背を預けている男子生徒。


そう…那美が言っていた“あいつ”である。


耳には金色に光るピアス、茶髪に染まる短髪、骨格がしっかりしている為に似合う鋭い目つき。


イケメンと称される学年1位の湊 朝日(みなと あさひ)。


生憎、同じクラスで幼馴染なんです。


「うっさいな~言われなくてもやりますよ~!」

「…やんねぇくせに…チャラチャラすん前に勉強しろっての!茶髪にあってねぇし、髪結ばなねぇしやまんばかよ…」

「~~~~~っ!!!!!うざいんだよばーか!!!!」


あたしは自分の鞄を手に取り、反対側のドアから飛び出した。


うざい、うざい、うざい、うざい…!


あんなに言わなくてもいいじゃん…。


走る私の音だけが、廊下に響いていた。