私の住んでいるこの町は、かなり海に近い。

 そのため、バスを使えば、簡単に海まで行くことができる。

 そんな便利なこの町が、私は小さい頃から好きだった。

 今から向かう海も、小さい頃は夏になると、毎日のように遊びに行っていた場所だ。

 小学生になり、学校に行っている時間が長くなったせいで、その頃からはだいぶ海へ行く回数が減ってきたけど。

 それでも私は、休みの日や早帰りの日には、決まって遊びに行っていた。

 中学生になると、休みの日も部活がある時があり、なかなか小さい頃のようには外出できなくなってしまった。

 だから今日、海に行くのは、かなり久しぶりなのである。

 季節に秋と冬と春を挟んだってこともあるけどね。

 そんな思い出の場所に、友達と行くことができるなんて、当時の私は思いもしなかっただろう。

 昔っから、一人だったからね。別に、寂しくなんてなかったけれど。

 でもやっぱり、今思えば、ずっと一人なんて寂しかったなって感じる。

 それは、準斗くんと出会って、話をして、一緒に下校して――。

 そんな、友達がいるのが当たり前だという人からすれば普通なことを、やっと経験することができたから。

 だから、昔の自分は寂しかったんだろうなって、思うことができるんだ。

 準斗くんには、感謝してもしきれないよ……ありがとう。