「そ、そうだ!」

 足りない知識でだったけど、どうにか思いついた!

「う、海なんてどう?」

「海かぁ……」

 準斗くんはしばらく、遠くを見つめるようにして検討していた。
 そして、

「いいよ。じゃあ海にしよっか」

 あははと楽しそうに笑いながら、私の意見を了承してくれた。

 よかった……、受け入れてもらえた……。

 安心してため息をつきながら、ふと準斗くんを見上げてみる。

 準斗くんは私よりも背が高く、体つきもしっかりしていて、理想の体型って感じだ。

 私が身長150センチなのに対して、準斗くんは160センチもある。
 10センチの差って、結構違うよね……。

 準斗くんが特別大きいわけではないが、なにしろ私が小さめなため、準斗くんは身長が高くていいなぁと思ってしまう。


 そういえば、前にそれを、準斗くんに話したことがあった。

『準斗くんはいいなぁ、背が高くって』

 そしたら準斗くんは、「そう?」と呟いてから言った。

『女の子は小さい方が可愛いよ』

 可愛い……、可愛い……。
 その言葉が、一瞬にして私の頭の中を埋め尽くした。

 そんなこと言われたのは、その時が初めてだった。

 準斗くん……。

 その時、私はますます、準斗くんのことを「いい人だなぁ」と思うようになったのだった。