あたしはしばらく放心状態で、目の前にある、優がおいて行った二人分のお金を見つめていた。 そしてはっと我に返り、慌ててかけ出す。 「お客様!?」 店員が驚いた声を上げる。 「お金ならテーブルにあります!」 あたしはそう言って駆け出した。 でも、喫茶店を出た先に、優の姿はどこにもなかった。