あたしはそれに答えるようにゆっくり顔を近づけていく。 『望ちゃんが好きなのはお兄ちゃんだもんね。』 何故かその時、さっきの奈子の言葉がはっきりと思い出された。 『望ちゃんが好きだから付き合えないんだって。』 勝手に震え始める手先。 それをもうひとつの手で必死に抑えてあたしはそのまま唇を重ねた。