百合子先生宅へ急ごうと足に力を入れた時、2人組の女子高生とすれ違った。

「さっき、その辺でケンカがあったらしいよ」
「マジでぇ~?見学したかったなぁ~」

表通りや裏通りよりも治安がいいとは言え、ここもあんまり変わらないのかな・・なんて考えながらやっと目的地に到着した。



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「はい、じゃあ今日はここまで!忙しかった割にはちゃんと練習していたみたいね」

「ピアノ、大好きですから!」

「ふふっ、やる気のある生徒は大歓迎よ。新しいマンションはどう?」

「快適です!! 百合子先生に教えてもらわなければ、1人暮らしなんて出来ませんでしたから」

「それはよかったわ」

実は、私の1人暮らし計画には大きな問題点が2つあった。

1つめは、ご存じの過保護兄弟をどう説得するか(結局、事後報告という形になったが・・・)

2つめは、実家のグランドピアノと一緒のお引越し、である。

いくらなんでも、これは流石に無理かなぁ~なんて諦めモードにはいっていた時、何気なく百合子先生に話したらサラッと解決して下さった。