繁華街の駅でいいって言ったのに

「遅い時間に女の子を1人で帰すなんてできないよ」

なんて素敵発言をして、あっくんはウチのマンションの最寄駅まで送ってくれた。

「本当にここでいいの?家の前まで送るよ?」

「大丈夫です。ここからマンションまでは近いし、十分明るいから心配しないで、あっくん」

「わかったよ」

そう言うとあっくんはスーツの胸ポケットから名刺入れを出すと1枚私に差し出した。

「ここに私の連絡先が書いてあるから、どこか痛くなったりしたら遠慮なく電話して」

名刺を受取り「はい」と返事してから車を降りた。

「あっくん、坂木さん、お花ありがとうございました。おやすみなさい」

「気を付けて帰るんだよ」
「おやすみなさい」


車が左折して見えなくなるまで見送った。

マンションまでの明るい道を歩きながら、さっきあっくんに貰った名刺を見て驚いた。