「うわっ」

可愛げのない声が出てしまった。恥ずかしい・・・

「ちょっと我慢してね」

おじ様は私を抱き上げたまま車に乗った。

横眼でチラッと地面を見ると、百合子先生から貰った花束は通行人に踏まれて無残な姿になっていた。

私は諦めの小さな溜息をもらして目を閉じた。

坂木さんの運転で車はスムーズに走り出した。するとおじ様は

「すまなかったね、本当に怪我はないかい?」

「はい、大丈夫です」

「おっと、自己紹介がまだだったね。私は神崎 晃(かんざき あきら)といいます。 えっと、お嬢さんの名前も聞いていいかな?」

「あっはい。えっと、雨宮 りん18歳、大学1年生です!!」

「・・・・」

「いや、あの・・・」
うう~~、なに張り切って自己紹介してんのよ~恥ずかしい~おじ様固まっちゃってるし、坂木さんは笑いを堪えてるのバレバレだし!!

「くくっ・・・」

おじ様は気を使って笑いを堪えた後

「雨宮 りんちゃんね、りんちゃんでいいかな?」ってニッコリ笑って言った。

「はい」

「それで?どうして病院はだめなのかな?」