―その日の帰り道

ピンポーン

「はーい。どちら様でしょうか?」
『あの…田畑藍です』
「あぁ!藍ちゃん!ちょっと待ってね」

タッタッタ

「おう!藍!!」
『諒!』
「入れよ」
『おじゃまします…』

「いらっしゃい。藍ちゃん!久しぶり!」
『お久しぶりです!』
「相変わらず可愛いわね」
『そ…そんな…』
「フフフ!可愛い」

「おーい!藍!部屋いーぞー」
『わかった!今行くね!』

白を基調とした、シンプルな部屋にサッカーの道具が置いてある。

「まだサッカーやってたんだ…」
「まぁな」

「んで、話は?」
「え?」
「お前が来たって事は、なんかあったんだろ?」
「あは…あはは!やっぱわかる?さすが!」
「お前……。泣いてんのか?」

不思議だった。自分が泣いているのが…
自然と涙が出ていたのだ…

「実は…う…う…」
「ゆっくりでいいから!深呼吸して?」

そう言いながら諒は背中をさすってくれた
昔とは違う。昔は私がさすっていた
でも…今では…諒が優しくさすってくれている。