「小春ちゃんにわからせてあげようと思ってね。キミを想ってるのは僕だけだと」




私は、気づいた。
彼の手に包丁が握られてる事に。






「あいつが下衆野郎だって、わからせてあげる」


「……」




突然、視界が真っ暗になった。





「少し目隠しさせて。横になって、気絶したフリをしててほしい」



言われた通りにするしかなかった。



横になって、気を失ったフリをした。





コツコツ、と足音が聞こえる。
四ノ宮くんが兄に近づく足音。








「おい、起きろ」



冷たい言葉の後に、パンッという乾いた音がした。