逃げようとしたけど、
ガッチリ抑えられてる。



彼は片手で、私の顔を逃げられないように抑えてる。





「んっ…。んんっ……」



キスなんてした事ないのに。
しかも長い。




なかなか離れない唇。
呼吸が……苦しい。









「はぁ……はぁ……」



やっと唇が離れた頃には、呼吸が乱れ、顔が妙に熱かった。





「へーえ、そんな顔もするんだ。いいね、その表情。エロい」



今、私を見下ろすこの人は本当に四ノ宮くんなんだろうか?





いや、もしかしたら、
これが……本性なのかもしれない。




学校での、王子様フェイスな彼は、ただの偽りの姿なのかも……。






「……大事にするよ」



また、耳元で囁かれた。