冷静沈着なイメージで通っている生徒会長様に、「キレそう」とまで言われたのはさすがにショックだった。

 言葉に詰まる私を一瞥し、軽い溜息を吐いて先輩は立ち去った。

 
 古賀みやび、十六歳。
 人生初の「告白」は、とんだトラウマになった。




「おっ、みやび。ちょーどいいとこ、来た」

 家から一番近いコンビニに、アイスを買おうと立ち寄ったら、雑誌コーナーで立ち読みをしている雅紀に遭遇した。

 泉川雅紀、隣の家の子。同い年で、幼稚園と小中学校が同じ、高校は別。

 お隣さんといっても、家同士の付き合いは浅く、幼稚園を除いて、クラスが一緒になったことも小三のときだけで、中学校では思春期にて会話なし。
 幼馴染みと呼べるほど親密な関係でもない、ただの隣人だ。

 ただ、高校生になってからやけに馴れ馴れしい。
 そして、高校生になってから、日に日に垢抜けていく風貌。

 典型的な「高校デビュー」男子、泉川雅紀は、読みかけの漫画雑誌を置き場に戻し、健康的に日焼けした小麦色の肌と白い歯で、にかっと笑った。

「アイス、奢って」