すると、ちょうど視線の少し下、枯れかけたススキの茎に私の天道虫がくっついていた。
息を殺したまま、ゆっくりと手を伸ばす。
天道虫は少しずつススキの茎を登っていく。
見下ろしていたのに、もう私の目線を通りすぎて、天道虫はどんどん登っていく。
あっという間についに、ススキの穂まで登りついた。
天道虫は草に限らず、人の手の指でも一番上まで登ると飛び立ってしまう。
慌てて手を伸ばしかけるが、その手を私は途中で引っ込めた。
みて見たい光景が脳裏に浮かんだ。
天道虫が飛び立とうと、背中の固そうな殻を割って、羽を羽ばたかせた。
真っ黒な背中にあった枯れ草色の四つの星が私のほうに向いていた。
飛んだ。
あの独特のカシャという音を立てて。
黒い天道虫の背中の四つの星が浮かび上がり、まるで星が夜と夕暮れが混じった空に昇っていったように見えた。
私は追うように立ち上がる。
息を殺したまま、ゆっくりと手を伸ばす。
天道虫は少しずつススキの茎を登っていく。
見下ろしていたのに、もう私の目線を通りすぎて、天道虫はどんどん登っていく。
あっという間についに、ススキの穂まで登りついた。
天道虫は草に限らず、人の手の指でも一番上まで登ると飛び立ってしまう。
慌てて手を伸ばしかけるが、その手を私は途中で引っ込めた。
みて見たい光景が脳裏に浮かんだ。
天道虫が飛び立とうと、背中の固そうな殻を割って、羽を羽ばたかせた。
真っ黒な背中にあった枯れ草色の四つの星が私のほうに向いていた。
飛んだ。
あの独特のカシャという音を立てて。
黒い天道虫の背中の四つの星が浮かび上がり、まるで星が夜と夕暮れが混じった空に昇っていったように見えた。
私は追うように立ち上がる。