一曲目が終わり、会場は歓声に包まれる。

あたしも身を乗り出して叫んでいた。

身体が熱くて、鼓動が速くて。

何年経ってもこの感覚は変わらない。





やがて、歓声は落ち着いてきて、口を開く彼。





「今日は来てくれてありがとう!」




いつもよりも凛として、いつもよりも少し低めのその声に、再び胸の中を掻き回される。

大好きだって叫んで、ステージに上がって飛びつきたい。

でもね、今はあたしの蒼じゃない。

今はあたし以外のみんなも、同じ思いをしている。

だって、あのFの碧だから。