音楽が大きくなり、スクリーンに映像が映る。
激しく脈打つドラム、ベースの弦が唸る。
ギターを鳴らすその指先。
そして……
何かが破裂したかのような音とともに、大量の紙吹雪が舞い散る。
スクリーンが消え、割れそうな大歓声の中、彼らが現れる。
野生的なドラムの玄。
寡黙なベースの酙。
日本が認めるカリスマ艶。
そして、クールで、ときに妖艶で、あたしの全てを狂わせる碧。
激しく、そしてスマートにギターを鳴らし、誘惑するような瞳で会場を眺める。
そして、その歌声に全神経が麻痺する。
あぁ……
やっぱりだめだ。
身体がおかしい。
ドキドキが止まらない。
不思議だな。
こんなにたくさんの人を狂わせるすごい人なのに……
あたしの身体の奥底には、まだその温もりが残っている。