そんなことを考えているうちに楽器のテストが始まり、開演を告げる音楽が流れる。

アリーナはたくさんの人で埋め尽くされていて、スタンド席にも人が溢れていた。

そして、人々が腕に付けたライトが色とりどりに輝いていた。




ただ……



満席ではなかった。

所々空席もあって、不倫騒動の影響の大きさを物語っていた。

胸が痛い。

蒼が知ったら傷つくかな。

だけど、そんな蒼を支えるのがあたしの仕事だよね。





拳を握りしめ、開演を待つ。

鼓動が速くなって、身体が熱くなる。

蒼のことを考えると、胸が熱くなった。

優しい蒼。

あたしだけの蒼。

だけど……

今は蒼を封印して、碧になる。

人々を魅了する、カリスマの碧に。