ニヤけついてしまいそうになるのを、必死で抑えて、顔がばれないように下を向いた。



日向くんの、新しい一面を知るたびに、
私の好きが増えて行って。



私ばかりが好きなんじゃないかって、不安になる。




「あー無理、ハズい」



日向くんはそう言うと、またさっきと同じように私を引き寄せた。



私は小さく声を上げて、ボスン、と日向くんの胸板に顔をぶつける。




「今日のお前、いつもと違う」



「そう、かな…」




いつもより頑張ってるつもりなんだけど………。



中途半端すぎて伝わっていないのかな、




「カッコつかなくなるからヤメろ」



やめろって…

そんなんじゃ私ばっかり恥ずかしい思いしなくちゃじゃん!!



「やだ」



「はぁ?」



拗ねたように呟くと、驚きを含んだそんな声。



私から“嫌だ”って答えが返ってくると思ってなかったのかな。



「…だって、日向くんばっかりズルいもん」



ぎゅうっと、日向くんの制服を握る。




「私だって、日向くんに…………すき、になって欲しい…し」



あー、うわー!!!
恥ずかしい!!!


日向くんに言われるのも恥ずかしいけど、こっちはもっと恥ずかしい!!



かぁぁっと頬が赤くなるのが分かる。




「………はー…。…あんまそう言うこと言うな、困る」



日向くんは私のおでこに自分のおでこを押し付けてきた。



こんな距離で見つめ合うなんて到底私には無理で、下を向くしかない。


こう言う時に、可愛く見つめ合える女の子だったら、どんなに良いか。




「余裕なくなる」



日向くんの息が鼻にかかる。



「…私は、いつも一杯一杯…だし……」





こっちの気も知らないで…!




「小夏」



落ち着いた声で名前を呼ばれて、私は小さく息を吐くと返事をした。



「…はい」



「こっち見て」



「・・・・」



無理!!ぜっったいムリっ!!


もしこんな状況で見ちゃったら、


……想像しただけでも爆発しそう…、



「おい」



う、


さっきより低い、日向くんの声。



「………無理」



む、向けないよ〜…