「(……やっぱり、ちょっとやだ…)」





これがいわゆる嫉妬とか、ヤキモチとかいうものなのか。


初めてのソレを経験した私は、どう対処すればいいのかもわからず、ただ毎日もんもんとそのことばかり考えている。




「小夏のヤキモチに気づいてない日向も馬鹿だよねぇ…」



華が呆れたように呟いた。



“気づいていない”




きっと、そう。



気づいてほしい、とか
そんなんじゃなくて


ただ、もっと 特別扱いされたいって


思うようになった。




この気持ちの変化に、時間って怖いなってはじめて思う。




「今日の帰り道、小夏から甘えてみれば？もしくは、日向にヤキモチ焼かせる、とか」



目の前の華はニヒルに笑う。


こういう時の華は、妙に楽しそうで少し怖い。



「ヤキモチを焼かせる……？」



「そう。名付けて、ドキドキ大作戦！…なんてね」



なんでそんなことするの？と、私が聞くと、華は顔をしかめた。



「日向を困らせたら面白いじゃん」



なんだ、それ……




アッサリと答えた華に、私は苦笑い。



確かに、ヤキモチ焼いて欲しく無いって言ったら嘘になるけど…




あぁ、恋をするって、自分が自分じゃなくなるみたいで怖い。



ちょっと前までの自分なら、そんなこと思わずにただ幸せだって言えるのに。



長くいればいるほど、もっともっと
欲しくなってしまう。




「ドキドキ大作戦……」



そう、小さく呟いた私に、華はまたニヤリと口角を上げた。



「小夏、めったにクラスの男子と喋んないでしょ？…だから、その喋ってる姿を日向に見せるのよ」



それって、

…私にできることなのだろうか。


不安が押し寄せる中、華は楽しそうに続ける。


「そうすれば、日向だっていい気はしないはずだよ」