あぁ、


やっぱり、この人は


ズルイ。



簡単に私を


引き寄せてしまう。



「…っ」


日向くんが伸ばした手が、私の髪に触れる。


緊張で、死んでしまいそう。



「す……き…」



だけどちゃんと言わなきゃ。



ちゃんと


伝えたい。




「ん、俺もだよ」



日向くんは私にそう言うと、また強く抱きしめた。




静かな空間に、私の心臓の音が煩く響く。


日向くんに聞こえてしまうくらいに。



「なんで、そんな急に…意地悪するの…?」


私が聞くと、日向くんは私の肩に両手を置いたまま言う。


「もうお互いが分かったわけだし、抑える必要もねぇじゃん?」



抑えるって…


今まで抑えてたんだ…


私が日向くんの目を見ると、彼も同じように私を見る。



そういえば…




「あの…日向くん…」



「何だ?」




「目の色………」




これ以上踏み込んでいいのかわからない。


日向くんにとって、聞いちゃダメなことなのかもしれなくて、言い方に困る。



「あぁ、コレか」


私の不完全な質問に対して、日向くんは小さく笑う。



「目、瞑って」



「へっ!?」



「いいから」



仕方なく、目を閉じる。


真っ暗な世界に、不安を感じる。


なに、………?



しばらくすると、日向くんは「目、開けて」と言って、私の手を取った。


ゆっくりと目を開けると、そこには


凄く懐かしい瞳が居て、


涙が出た。



あの日の記憶と、彼が重なる。



黒色の髪と対照的な、明るい色の瞳。



真っ黒な瞳とはまた違って、魅力的だ。



昔と一つも変わってない。



「綺麗……____」