「俺がしたいからするの!いーの!」

なんて年上なのに彼は言う。

その口調も可愛く感じてしまう。


夏は暑い暑いといいながら、くっついたり

離れたりしながら夜は寝て

冬は寒い寒いといいながら、くっついて

朝起きるのがつらいと二人でぎりぎりまで寝て。

そうやって時間を共有してきた。


彼と出会う前は

ふらふらして、何にもない

からっぽ

みたいな感じだった。


割りきった関係。

一夜限りの恋。

そんな感じだろうか。

私がいなくなっても世界は規則正しく時間を刻む。

私が置いていかないでと泣きながら叫んでもそれは変わらない。

自分が無力で何にもないと

どこかで区切りをつけてしまった時から

音もなくガラガラと

自分のなかでなにかが壊れた音がした。

そこからふらふらして

自分から逃げないと生きていけないような気持ちになってしまった。


どうせあたしなんて。

口癖のように言っていた言葉。

真っ向から否定してくれたのが彼だった。

真っ正面からぶつかって

受け入れてくれたのが彼だった。

過去も未来も全部愛してやるよ、と

抱き締めてくれた彼の腕の中で

これでもかというくらい号泣したのを覚えてる。