「電話番号を教えてよ。」


「……えっと、0……。」


私は自分の番号を伝えた。


「俺のも教えておくよ。
誰からかかってきたか分からないと困るだろう。」


私はスマートフォンの画面の電話アプリの登録項目を開けた。


「あっ、画面開けました。お願いします。
……今さらなんですけど、お名前知らないんですけど。」


私は目の前のイケメンくんに、いまだ恐怖していた。

でも、名前を聞かないわけにもいかない。


「……えっ!?もしかして……俺の名前、知らないの?
けっこう校内で、有名らしいけど。
そっか。委員会、途中からだから知らないんだ。
おおかみ つよし、大きいに上って書いて……、
下の名前はつよしね。
ちょっと貸して。」


私のスマートフォンを奪い、高速でタップしていた。


「こういう字を書くんだ。」


私のスマートフォンの画面を見せた。


『大上 剛史』


……怖そうな……強そうな名前。


私はスマートフォンを返してもらい、解放された。