「ねぇ、姫子ちゃんってば。聞いてんの~?俺、マジで姫子ちゃんに惚れちゃったんだって。マジ、大好きなの」
「ありがとうございます。気持ちは嬉しいんですけど、あたしには彼氏が……――」
「だから、俺は彼氏がいたって気にしないから。たまには彼氏以外の男と遊ぶのも息抜きになっていいよ~?ねっ?」
大好きって言ってもらえるのは嬉しいけれど、あたしはその気持ちに答えられない。
この際、バシッと断った方がいいのかな?
だけど、もし変なことをいって怒らせてしまったらお店の売り上げにも影響が出るかもしれない。
どうしたらいいんだろう……。
必死で考えようとしても、頭がガンガンと痛んで思考がうまく働かない。
「姫ちゃん、ちょっとこっち来てよー」
お客さんが試着室から手を伸ばしたその瞬間、バシッとその手が何かによって弾かれた。