ハァ……。仕方ない。


最終手段に出よう。


今日は体調も優れないし、にこやかにやり過ごせそうもない。


「すみません。実は、あたし彼氏がいるんですよ~。だから、ご飯とかはいけな……――」


「彼氏いてもいいって~。ちょっとご飯に行くだけだよ?」


「いやいや、でも、彼氏が嫌がるかもしれないし……」


「もしかして姫子ちゃん、俺が服買わないとデートとかしないつもり~?売り上げに貢献したらデートしてれる?」


「あの、そういうつもりじゃ……」


「もう~、そういうことなら早く言ってよ。で、どれ買えばいい?どれ買ったら俺と遊んでくれんの?姫子ちゃんの為なら俺、頑張っちゃうから~」


困ったなぁ。いつも以上にしつこい。


誰かに助けを求めようとして店内を見渡したものの、みんな接客中で慌ただしく動いている。


こんな中で助けを呼べるはずもない。