そして兎は、猟師に気づいてもらおうと窓を叩こうとした。が…それは出来なかった。

猟師との約束を守るために、戻って来たはずなのに…

゙二度と姿を見せないでくれ!!゙

と、猟師に言われた言葉が、胸に刺さって抜けないのだ。

もしかしたら、猟師は自分の事を思って、言った言葉だったのかも知れない…とも考えたが…

兎はそれを確かめるのが怖くて…

何度も猟師の家を訪れたが、結局、窓を叩く事は出来なかった。




それから、猟師のケガがすっかり治った頃…

あの仲間の猟師が遊びに、また家を訪れていた。

「…そう言えば、あの時…」

話は、猟師が穴に落ちた時の話になっていた。

「兎を追ってたらさ〜その兎、君が落ちた穴に飛び降りたんだよ」

「え?それ本当かい?!」

「うん、で、中をのぞいたら兎の姿はどこにもなくて、君がいたって訳」

それを聞いた猟師は、いてもたってもいられず家を飛び出すと、あの兎を探して森の中を走り回った。

猟師はあの兎が、助けを呼びに行ってくれたと思い…

どうしても、お礼が言いたくて…謝りたくて探しつづけた。