「…大丈夫だよ…」

猟師は兎を心配させないように、笑って見せた。

「…君は大丈夫?…穴掘りは進んでる?」

「はい、私は神の使いなので、お腹はすかないんです…猟師さん、もう少し待っていて下さいね!地上に出たら、助けを呼びに行きますから!」

兎は穴に落ちた日からずっと、地上に向かって横穴を掘りつづけていた。

「うん、頼んだよ…」

猟師はそれだけ言うと、目を閉じた。

実のところ…さっきから、兎が食べ物に見えて仕方がなく…

気を抜くと、兎をキヅつけてしまいそうで、それを抑えるのに必死だったのだ。