あの線の向こうには、何があるんだろう



彼女が指した先には、ありきたりな石灰の白線があった


何言ってんだよ、今見えてる景色しかねぇっつうの



おれが苦笑いしながら言っても、君はまるでそれが聞こえなかったみたいに、その一点を見つめ続けていた



なあ、あの時君には何が見えた?



あの途切れかかった白線の向こうがわに、何を見ていた?



小さな日だまりの中の、何気ない会話




幼い日の記憶――――