やっばーい。
遅刻!遅刻!



私は、下駄箱で上履きに履き替え、誰もいない階段を駆け上がる。


腕時計を見ると、今は8時50分。
HRはもう始まっちゃってるけど、1限には間に合うはず!

そう思い、教室への廊下を高速で走った。


すると、一人の男子生徒が立っている姿が見えた。



「廊下を走るなっ」



低い声で耳に届く。



うげっ生徒会長だ……
なんて、タイミングの悪いこと



「ごめんなさい!」と言って、すぐ傍を走り過ぎ去ろうとした時だった。

腕が伸び、捕えようとしてきたのだ。
このまま行けば、きっと腹部へ来て圧迫されるはずだった。

けれど、腕が伸びるのが遅かったのか、私が走るのが速かったのか……


見事、彼の手が私の胸へとフィットしてしまった。



「うわっ……」