只今の時刻、6時40分。
決意して出てきた3分後僕等は立ち尽くしていた。

電気が消えた。
今まで当たり前のように点いていた電気が…蛍光灯という蛍光灯が全て消えた。
そして、狂ったように流れ出したのが──ベートーベンの《運命》。正式名称、運命交響曲という…あれだ。
「なんでっ?どうなってるの!?」
「ブレーカーが落ちた…とか?」
「なら…放送も出来ないんじゃ…」
ひそひそと話していた声は、やがてパニックの声へ変わった。
「誰かがブレーカーを落として、また上げたんだ!」 「誰が、そんなこと!?先生!?」
皆が好き勝手叫び出すので煩くて仕方ない。僕も確かに不気味だとは思うけれど…そこまで冷静さを欠いているわけではない。
「ねえ」
先程から全く喋らず、ただ黙って窓を見ていた響子が唐突に口を開いた。 「気付かない?」
「何が?」
そう聞き返す絵美の声には、怯えの色が混ざっている。
響子は、しばらく考えてから口を開いた。