話を今に戻そう。
部室の時計は、しっかり正確に時を刻んでいる。今の時刻は、泣いても笑っても6時32分だ。
「もう、完全下校は過ぎたよね、絶対…。もう、門閉まってたりしないか?」黙れ俊夫、と言いたくなったのを堪える。6人の不安が増しただけだ。僕等が何も言わないので、俊夫は更に不安そうな顔になる。
「もしかしたら先輩、もう帰ったんじゃ…」
「あたし帰る」
すくっと立ち上がり、俊夫を睨んでそう言ったのは、先程から時計をチラチラ見ていた絵美だ。
「今日、いろいろと忙しいし。お母さんも心配してると思うし」
「なら、あたしも」
どうでもいい。とばかりに、ぼうっと天井を見つめていた響子が立ち上がる。誰かが帰る時に帰ればいいや。と思っていたらしい。いかにも響子らしい考え方だ。
「いいの?E.T先輩怒ると怖いって聞いたけど…」
こういう時に、さらりと不安を煽るのがエミだ。出て行きかけた絵美が、ギクリと足を止める。響子は、帰らないならあたしも帰らないけどハッキリしてよどーすんの?という目で絵美を見ている。彼女に言わせれば、先輩が怒ろうが怒らまいが、全て「どーでもいい」だ。 「こうなったら全員で行くってのはどうだ?」