いや、正確には倒れた訳ちゃう。
意識失ってベッドから落ちた。
「オトン………どないしよっ……」
アカン、と思ってナースコールを押した。
オトンの右半身がひくひくしとった。
俗に言う“痙攣”?
ナースコールを押して数分で、オトンは機械に囲まれた。
その光景が、オカンの死期と重なった。
うまく呼吸が出来ひんかった。
「ハァハァハァ……ヒッ………ハァハァ……」
結局、過呼吸が治まったんは10分後くらい。
過呼吸に気付いてくれはった看護士さんが、うちを連れて病室から出た。
「ここやったら誰もおらんし、少しは落ちつけるやろ?」
そう言って連れて来られたんは、今は使われてない産婦人科のナースステーション。
ほんまに人1人として居いひん。
そして気づけば言葉が。
「うち、怖なってもうて。うちのオカンはガンで死んだんですけど、さっきの光景がめっちゃ似てたんです。オカンの死期に。」
「でも、オトンは病気隠そうとしてはるから、どないしよか分からんくなって。」
下手に励ましたりしぃひん看護士さん。
ネームプレートには“横峯”の文字。
横峯さんは、うんうん、って話をきいてくれた。
そして、ある人を連れてきてん。
「久しぶりやな……美穂ちゃん。」
8年前、オカンの主治医やった…
「藤岡先生……。」