「お客さん、さみしいの?」
「はい?」
「待ってて。いいもの作ってあげる」
「え、ちょっ、」
待って、と言う暇さえもなく、奥へ引っこむうさぎ。
ため息を零すと体がまた重くなる。
手作り感溢れる家具や小物。
パッチワーク風のデザインのコースターや木で出来た小さな置物なんかがひどく愛らしく、暖かみを感じる。
ツー、とテーブルの木目をなぞった。
「はい、お客さんの好きなホットミルク」
私、そんなにホットミルクは進んで飲まないんだけど……。
うさぎさんの言葉に首を傾げる。
そして、湯気の上がる丸いマグカップを仕方がなく受け取った。
そっと持ち上げて口に運んだ瞬間。
ぽろん、と頬の上を涙が転がった。
やさしい、やさしい、ホットミルク。
隠し味はとうとう知ることのなかったホットミルク。
────昔、彼がいつも作ってくれたもの。