わたしの嘆きが聞こえたのかその男は振り返った ぱっちりとした切れ長の二重に薄い唇で少し高い鼻 いわゆるイケメンってやつ 「………誰だお前…」 彼の低音ボイスが路地に響いた わたしはごくりと唾を呑み込んだ 「人に名前を聞くときは自分から名乗れって習わなかったの??」 わたしがそう言うと彼はふっと鼻で笑った 「面白ぇ女」