「…まさか、髪を切るのか…?」


美容院と思われる店の前に
バイクを止めた。

そのまま
ヘルメットを置く。

クイッと顎で指示され
俺は美容院に入る。



…美容院つて
女子が髪切るところだろ?


黙って入って行った。



誘導されるがまま
椅子に座る。

店員とチャラ男が会話しているのが
鏡越しに見えた。




「りょ~かい!」

店員は俺の後ろに
近寄ってきた。



「…髪、切るんですか?

髪切ると、
前と同じようになるんですけど…」


チャラ男は
安心しろと鏡越しに口パクした。

そして
ニヤリともした。





背筋がゾッとしながら
頭の上はされるがままだった。