「そうだったんだ…」

平助は自分のことのように眉をさげた。

そんな彼を一瞥した紫音の瞳には少しだけ優しい光が宿った。

しかし、それもつかの間。
紫音の顔は険しくなっていく。



「そして母は私に最期に願った。」

もう敬語が完全に外れた紫音はそこで目を伏せた。

「で?何を願ったんだ?てめぇの母親は。」

なかなか話さない紫音に土方が苛立った視線を向けた。


一度目を閉じて深呼吸をした紫音が口を開いた瞬間…



廊下から慌ただしい足音が聞こえた。


「副長!!大変です!!」