そのとき、不意に肩を叩かれた。

きゃ…


私は小さく悲鳴をあげ、振り向いた。
品の良い、黒いスーツに、藍色の無地のネクタイが目に入った。
背の高い男性だ。
私は少し目線を上にした。

日本人?!


そこには端正な顔立ちの若い男性がいた。

全部見てたよ。このオッさんがあんたを襲おうとしてたとこも。
だから、大丈夫。落ち着いて!

私は黙ってうなづいた。