「この芸人てね、この辺の出身らしいよ」

「へー」

テレビを見ながら、他愛もない話をする。

それだけの事だけど、なんだかすごく幸せに感じる。

今まで、誰かと同じ時間を共有して…こんなに幸せ感じた事……たぶん、ない。

将来、もし……このままずっと一緒にいれたら……。

「ふぁ……」

なんてつい空想していたら、雨は小さく欠伸していた。

「………眠い?」

「ん、大丈夫」

と言いつつも、雨は気だるそうに後ろのベッドにもたれた。

私といても、退屈なのかな………。


『昔付き合ってた彼女が辛党で、パスタとかによくタバスコかけてて、店でた後にキスしたら……なんか辛くて……俺、辛いのダメなんすよ~(笑)』

テレビの中で、あまり売れていない芸人が自分の昔の話を暴露していた。

「……ふっ」

雨は小さく笑っていたけど、その後すぐに眠そうな顔に戻った。

外からは、雨の降る音が聞こえくる。

なんだか…世界に二人きりだけな気がしてきた。

だから、かもしれない……こんなこと、言えたのは………