「雨くんは、今までどんなあだ名で呼ばれてた?」

「まあ、大体……和久とか、カズとか」

「下の名前では呼ばれないの?」

「あんまり…呼びにくいし」

そうなんだ…。

なんか、少しホッとした。

「ね、呼び捨てで呼んでいい?」

「いーよ」

「やった」

私が微笑むと、雨く……雨も、少し笑ってくれた。


「でね……」

「あ、あぶなっ」

私が横断歩道を渡ろうと、するのを雨に引き止めらた。

よく見たら赤だ。

「あ、雨。ごめん」

てゆうか……手…………。

咄嗟に掴まれた手が、雨の体温を教えてくれている。

「……と、危なかった」

雨は握っている手を弱めたが、私は逆に強く握った。

雨はこっちを見ている様だったけど、恥ずかしくて、私はそのまま下を向いた。



「………………」

少ししたら、雨もまた、手を握り返してくれた。



………いつかは、離さなきゃいけないのはわかってても……離したくないと本気で思った。