「そう?」

「うん………あんまり、過去の話とかされても…どうしていいかわかんないってゆうか」

「……………」

雨君が少し、暗い顔をした気がした。

「そういえば、雨君て、私のことなんて呼んでる?」

「…………え?」

何か空気が重くなりそうだったので、思い切って話題を変えた。

この事も、前から気になっていた事だ。

「えー………」

雨くんは少し迷っていた。

「私の名前は知ってるよね?」

「うん、山瀬冬美」

「うん……」

少し、体が熱くなった気がした。

「なに?ヘンな顔して………」

「いや………雨くんに名前で呼ばれるの、たぶん……初めてだから」

なんか、嬉しい…。

「そうかも…。友達とかは、何て呼んでる?」

「んーフツウに冬美とか、フをとって、ユミとか」

「ふーん…」

「でも、何か今までなかったあだ名で呼ばれたいな♪」

そのほうが特別な感じするし…。

「どんなん?」

「んーと……ユをとってフミとか?(笑)」

「ん、フミね。了解」

少し冗談のつもりで言ったけど、あっさり了解されてしまった。