後半が始まり、10分くらいしたところで、ライバルが1点を決めた。

「やったぁ!!」

なんだか私もテンションが上がってきて、雨くんを見ると、雨くんも嬉しそうだった。

………来て、よかった。



結果、試合は逆転されることもなく1対0の勝利だった。

「このまま、どっかで食べてこうよ」

「ん」

どこ行こうかな~と思いつつ、スタジアムを出ると、すごい人だかりがあった。

「こっち」

雨くんは、反対側の方に向かって歩き出した。

「雨くん……」

「ん?」

聞こえないくらい小声で呟いた。

「……スキ」

「なに?」

「……これ、どっちの方、向かってる?」

「わかんないけど、とりあえず人がいない方」

そのまま歩き続けて、私たちはスタジアムの裏の方に出た。

駅、どころか人も建物も見当たらない。

「雨く……」

「ありがと」

「え?」

「楽しかった」

雨くんは私の方を見ずにお礼を言った。

「いいよ」

「タクシー呼ぶか」

「雨くん」

タクシーを探そうとした雨くんの服の裾を引っ張った。