サッカー観戦の当日になった。

スタジアムは電車で1時間くらいしたところにある。

「……………」

私は、ほとんど無言だった。

「…………どうした?」

雨くんが、いきなり顔をのぞき込んできた。

「あ、いや…大丈夫」

「何か、外で会うと無口な」

「だって、慣れてないから照れるもん(笑)」

どうしよう。

ものすごくドキドキしてる。

雨くんの一挙一動に、ときめいてしょうがない。

スタジアムには、すごい人だった。

前の方の席は、サポーターの人達が陣取っていた。

私たちのチケットのエリアは後ろの方だった。

「すごい広いんだね…」

「うん」

「勝つといいね」

そう言うと、雨くんは少し笑ってくれた。

…かなりうれしい気持ちになった。



前半は、0対0だった。

素人の私には、善戦してるのか苦戦してるのかよくわからなかった。

でも、私のライバルは活躍していた。

「どう思う?前半」

「……まぁまぁなんじゃない」

どうまぁまぁなのかわかんないけど、雨くんはスタジアムを真剣な目で見つめていた。