ダイキと名乗ったその人は、お兄ちゃんの同級生だった。

見た目はヤンキーぽいけど、中身は普通の人だった。

「高校は………違うんですか?」

「俺……高校行ってないから。いま、鳶やってる。イテテ…」

私の当てた消毒液が傷にしみたようで、ダイキさんは顔をしかめた。

「あ、すいません……」

「大丈夫。俺の分まで、悪いね」

でも、お兄ちゃんのよく遊ぶ友達は大抵知ってるけど、ダイキなんて名前は初耳だった。

「お兄ちゃん……とは、よく遊ぶんですか?」

「…卒業してから、ほとんど連絡とってなかったけど、何かいきなり夏生から誘い出してきて………あんまり家にいたくないみたい」

やっぱり………お兄ちゃん、私を避けてる。

他に、家に帰りたくない理由が思い浮かばない。

「こいつと、ケンカでもした?」

「ケンカ……とゆうか、色々あって……。お兄ちゃんは何も言ってませんでした?」

「いや、何も…」

"色々"とゆう言葉でぼかすと、ダイキさんも聞かれたくないと悟ったのか、深くは聞いてこなかった。