やっとの思いで顔を上げると、涙で雨君の顔がよく見えなかった。

最悪………化粧も多分ボロボロだろう。

「お兄ちゃんのこと、隠したかったの………雨君には」

「…………どう、して?」

当然の疑問だ。



「………好きだから」

言った途端、顔から湯気が出る気がした。



「雨君が、好きだから…………」

「お兄ちゃんの妹って、知られたら………私のこと、女みたいに見てくれないんじゃないかって………」

「なんか………一人の………女……違う………えっと、だから………お兄ちゃんの妹としてじゃなく……」

「普通の女の子として、観て欲しかったの!」



「………………」



私は涙を服の袖でぬぐった。

「………好きです」



「大好きなんです」



「……………俺」

やだ、聞きたくない。

「………か、考えといてください………!」

私は逃げるように非常階段を降りて行った。



最悪だ………私………

あんな勢いで、告白なんかして………お兄ちゃんにも、友達にもあんな態度とって………もうやだ、死にたい、死にたい!