「…………………」

私は無言でうなづいた。

「俺と、同じクラスって、知らなかった?」

………そんな訳ない。

妹なら、兄のクラスぐらい知ってるはずだ。

大体、最初お兄ちゃんの彼女のノリちゃんに頼んで紹介してもらったのに、同じクラスって知らないなんて、無理ありすぎる。



「………兄貴いるって、初めて知った」

「……言わなかった……け?」

声が、震える。

無理だとわかっていても、逃げの言葉がでてくる。



……どうしよう、助けて。


「うん、聞いてない」

「…………っ」

私の目から、涙がでてきた。

どうしよう、いまだに雨君の顔が見れない。

「……………ちょっと」

私はうつむきながらも雨君の手を掴み、奥の非常階段に入った。

これ………本当に、現実なのかな?

なんか、現実にしては、足元がふわついてる気がする。

目元が熱い。


ああ、もう………!



「ごめんなさい!私、嘘ついてたの………!」

私は雨君に向かって勢いよく頭を下げた。

「え…………」