「おかえりー」

玄関を開けると、お兄ちゃんが陽気に私に手を振った。

「……ただいま………」

私はぼうっとしたまま、自分の部屋に入った。

「はーーー」

すぐに、ベッドに寝転がり、今日の会話を頭の中で必死に整理した。

忘れないようにメモでもとっておこうかな。

でも………そうしたら、何か、自分の字で書いちゃったら、あんま雨くんとの思い出じゃなくなる気がして、やっぱりやめた。


「あーー好きっ」

「冬美」

ドキ!

あわてて振り返ると、そこにはお兄ちゃんがいた。

「お……お兄ちゃん」

「手紙、ありがとな」

私が顔を真っ赤にして何とかごまかしを考えてたけど、お兄ちゃんはそこにはつっこまず、お礼を言ってきた。

「あ、ああ」

そういえば、書いたっけ…。

「俺、小さい頃からずっと冬美のこと面倒みてきてさ、……たった一人の妹だし……大事にしたいんだよ。だから、たまにうざがられても仕方がないと思う」

「いや………まあ、それは………私も、昨日は言いすぎたし」

「……………」