倉庫の前には、"雨の君"が、カラーコーンを持って立っていた。



「あの………」

"例の君"は、私の声に反応して、こっちを向いた。

「呼び出して、すいません」

「………………?」



声が震える。

心臓もばくばくいってる。

顔が熱い、てゆうか、全身熱い。

「い、いきなりなんですけど……アドレス、教えてください」

「……………」

「……………」

「……ケータイの?」

私はこくこくとうなづいた。

「い、嫌ですか?」

「いや、いーけど………」

そう言って、ジャージのポケットから、ケータイを取り出した。

「赤外線ある?」

「はい、はい」

「ん」

二人でケータイの頭同士をあわせて、私のケータイに彼のアドレスが送られた。

「ありがとうございます」

私は、指の震えをとめながら、彼のアドレスを自分のケータイのメモリにいれた。


「名前は、なに?」


「や……ふ、冬美です」

「わかった」

彼はそのまま、校舎に戻って行った。


し…………死んでもいい…………


ぼうっとしたまま教室に入ると、万理が"おはよ"と声をかけてきた。