ギャルのグループにいたころは全然話さなくて、私のことも〝山瀬さん〟て呼んでた。

なのに、同じグループになるなりいきなり〝冬美〟て呼び出したりするところに違和感を感じる。



「冬美と仲良くなりたいってコトだろ、いいじゃん。友達ふえて」

「そうだけど……まだ6月なのに、大丈夫かな」

「不安がったってしょうがないって」

「うん………」

そう答えながら、私は夕飯のカレーをかきまぜた。

「できたよ、お兄ちゃん」

「おっ、うまそ」

テーブルの真ん中に置いたカレーの鍋を、お兄ちゃんはおいしそうに覗き込んだ。


「その、マナミって子は、前のグループに戻る気配はないの?」

「んー……たまにしゃべってるとこ見るけど、前のようには……」

「俺、女同士のそこがよくわかんないんだよね。嫌いになって離れたのに、前と同じように笑って話したりしてるじゃん。お互い嫌じゃないの?って」

「んーそれは私も不思議だけど、何か、ずっと一緒にいるのは嫌だけど、たまに話す程度だったらいいみたいな………」

「ふーん……俺は離れるほど嫌いになったら、もう口聞かないけどね」

「男と女は違うの」

お兄ちゃんはははって笑って、カレーを食べた。