「それは、冬美次第」

「……………」

「あんたはまだ若いし、真面目で失敗なんてしたことないからわかんないと思うけどさ」

何も言い返せなかった。

みやちゃんの言う通りだったから。

思い返せば、自分は安全な道しか選んでこなかった気がする。

きっと、雨への告白が…人生初の挑戦だったんだろう。

そんな私だから、雨の過去の失敗が理解できないのか。


次の日。

今日の生物の授業は移動教室だった。

マナミと万里の三人で理科準備室へ向かった。

「最近、すごい雨だね」

「ずっと止まないよね」

外を見て、二人は憂鬱ぎみに呟いた。

なんか、私の心みたい。


「…んかさー、3年の和久さんているじゃん」

「ああ、あのクールな感じの?」

後ろから知ってる名前が聞こえて、すぐ振り返った。

見ると、ギャルっぽい二人が歩きながら何かを話していた。

もう向こうの方に行ってしまい、距離が遠くなってもう会話は聞こえないけど…。

確かに、和久と言ったのは聞こえた。